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亀井文夫・山本薩夫監督『戦争と平和』(1947)

この作品は「夫の戦死の公報を受け再婚した妻のもとに、夫が復員してきたことから起こった二重結婚の悲劇」を主題的に取り上げたもの。妻の夫に扮するのが伊豆肇、妻の再婚相手に扮するのが池部良で、しかも、その二人が戦前からの無二の親友同士という設定が一人の女性を巡る男女の三角関係を描くというメロドラマ的な側面を鮮やかに引き立て、重厚な人間ドラマになっていた。とくに、戦場での悲惨な経験がもとで精神錯乱をきたしてしまう池部良の演技は、鬼気迫るような迫力がみなぎっていて、後年の二枚目役者としてのイメージしかない自分にはとても新鮮だった。また、これも「三等重役」等での軽妙なコメディー役者としてのイメージしかない伊豆肇がこの
作品ではシリアスながら誠実なキャラクターを演じたのも同様に新鮮。

序盤の中国シーンで、女性が哀愁に満ちた旋律にのせて朗々と歌う「反日抗戦の歌」をはじめ、中盤での終戦後の民衆のどさくさの状況、男女の三角関係のメロドラマなどを描いているシーン等々は確かに素晴らしい出来映え。

ただ、終盤になって、そうした悲惨極まる状況をもたらした元凶として戦争そのものを糾弾し、戦争放棄を誓い、平和な国家を築いて行こうというメッセージが主人公・伊豆肇の決意を通して前面に登場してくるようになると、映画的な面白さが途端に減じてしまうように思えるのはどうしてだろう。

映画に政治的なメッセージが込められることを嫌がるわけではないが、この作品の場合、とくに男女の三角関係のメロドラマを描いているシーンが素晴らしいだけに、余計に終盤のメッセージが空々しく見えてしまうのかも知れない。

いずれにせよ、戦争によって引き起こされるさまざまな悲劇が、これでもかこれでもか、と描写されるその気迫に圧倒されてしまったという印象。
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