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中国が日本に仕掛ける軍拡競争 戦力逆転の分水嶺

中国が日本に仕掛ける軍拡競争 戦力逆転の分水嶺
2014/6/30 7:00

尖閣諸島付近への領海侵入、自衛隊機への異常接近――。東シナ海一帯で日本に対する挑発行動をエスカレートさせる中国。東シナ海での海空兵力はいまだ日本が中国を上回るとされるが、中国の軍備増強は急ピッチで進み、日本は対抗措置に追われる。「日中軍拡競争」はどこに行き着くのか……

■タブーだった「日本版海兵隊」

5月22日、鹿児島県・奄美大島沖合。海上自衛隊の輸送艦「しもきた」の艦尾ゲートが開き、船外機付きゴムボートが水しぶきをあげて次々に飛び出していく。ボートに搭乗するのは顔を迷彩色に塗った男たち。陸上自衛隊・西部方面普通科連隊(長崎県佐世保市)の離島防衛専門部隊。「日本版海兵隊」とも呼ばれる精鋭たちだ。

陸海空3自衛隊合同のこの訓練。フル装備での水泳など特殊な訓練を積んだ屈強な隊員に与えられたミッションは、約10キロ先の「敵に奪われた」無人島に上陸し、奪還すること。中国に尖閣諸島が占拠されたケースを想定しているのだ。

「日本版海兵隊」構想は2013年防衛大綱で盛り込まれた。12年の尖閣国有化以降、領海侵入を繰り返す中国の脅威が背景だ。米海兵隊との合同演習などを通じてノウハウを吸収し、急速に力をつけているという。西部方面普通科連隊を中核に3000人規模に育てる。

上陸作戦能力に主眼をおいた「日本版海兵隊」は戦後の日本では長くタブーとされていた。専守防衛にそぐわないと思われていたからだ。

4月8日の参院外交防衛委員会。元海自自衛艦隊司令官の香田洋二の説明はこうだ。「海外派兵につながるということで、水陸両用作戦能力は、つい十数年前までタブーだった。しかし、環境変化、島しょ防衛の必要から、国民が容認するところだろう」。中国の東シナ海での圧力によって自衛隊には「制約」がひとつ、なくなったといえる。

だが中国は、空からも挑発を始めた。この訓練の2日後の5月24日、東シナ海上空で中国とロシア海軍の合同演習を監視していた自衛隊機に対し、中国軍機がわずか30メートルの距離まで異常接近して威嚇した。日本政府の厳重抗議にもかかわらず、6月11日にも再び中国機が異常接近を繰り返した。

現代戦では航空優勢の確保→海上優勢の確保→地上の制圧という順で戦闘が進む。つまり、尖閣をめぐる有事が勃発すれば、中国軍と最初にぶつかるのは航空自衛隊の部隊だ。

■航空兵力は「日本優位」だが・・・

近年、新型戦闘機の数を増やしている中国。現時点での日中の航空兵力を比較するとどうなのか。ある空自関係者はこう分析する。

「現代の航空戦は、戦闘機とそれを支援する空中警戒管制機(AWACS)、給油機などがチームとなって戦う。作戦参加機全体の総合力という点で比べれば、日本の空自の方が優位」

航空優勢を確保できないまま中国海軍部隊が尖閣に近づいても、空自のF2支援戦闘機や海中で待ち受ける海自の潜水艦の標的となってしまう。実は自衛隊は一部の保有装備の性能を低めに公表する傾向がある。今なら自衛隊の戦力で尖閣防衛は十分可能ということだ。

しかし、これはあくまで現時点の日米中の軍事バランスを前提にした展開予想だ。中国は海空軍やミサイル部隊の軍拡を急ピッチで続けており、今後時間がたつほどに中国優位となるのが確実な情勢だ。

例えば空軍力。中国は近年、ロシアからの輸入、輸入機のコピー、自主開発などでSu27、Su35など「第4世代」「4.5世代」と呼ばれる世界的に主流の戦闘機を大量に配備しつつある。その数は670機と空自の260機を大きく上回る。性能面でも、一部の機種は空自が200機を配備している主力機F15をしのぐという。

さらに日本がまだ持っていない「第5世代」のステルス戦闘機J20の開発も着々と進めている。米国防総省は、中国は2018年以降に、第5世代機を実戦配備すると予想している。日本の第5世代ステルス戦闘機F35の配備が本格化するのは18年度以降だ。つまり、18年を境に日中の航空兵力が接近し、手をこまねいていると逆転しかねないのだ。

仮に航空戦となったケースを予想すると、数で勝る中国空軍が空自F15の数倍の規模の最新鋭機を発進させれば、迎撃に出た空自機が搭載する空対空ミサイルをすべて撃ち尽くした時点で、中国側残存機のミサイルで丸腰の空自機に襲い掛かる展開となる。日本の空自の戦力の「質」がどれほど高くても、いずれは中国軍の「量」には勝てなくなってしまう「分水嶺」がいずれ訪れる。

防衛予算を見ればすでに日本は、中国の仕掛ける軍拡競争にいや応なく巻き込まれていることがわかる。

尖閣国有化の翌年、13年度の防衛予算は0.8%増の4兆6804億円と11年ぶりの増額になった。14年度は2.8%増の4兆8848億円。防衛省は水陸両用車の増強など、島しょ防衛強化を増額の理由にあげている。

■中国の国防予算は日本の「5倍」

だが、中国の国防費の膨張ぶりを見ると、日本の防衛予算の増額など微々たるものに映ってしまう。

中国政府公表の14年国防予算は前年比12.2%増の8082億元(約13兆3000億円)。4年連続2ケタの伸びで、08年に比べて倍増するほどの膨張ぶり。これだけで日本の約3倍だが、米国防総省の分析などによると、外国からの兵器購入など非公表ベースの費用を含めた実際の軍事費は日本の防衛予算の5倍強という。そして国防費の多くが南シナ海や東シナ海など海軍力の増強に使われてきた。

日本のある安全保障当局者は、中国の思惑をこう説明する。「中国軍にとって尖閣を巡るベストの展開は、米国が介入せず、日中の戦力バランスで中国優位で確実に勝てるという状況だ」。まずは日本の東シナ海での海空戦力を上回ることを目的としているのだ。ただ、米国が介入しないという前提は、中国にとって都合の良い希望的観測に見える。根拠はあるのか。

4月下旬に来日した米大統領オバマは「尖閣諸島は日本の施政下にあり、それ故に日米安保条約第5条の適用範囲内にある」と明言した。しかし、これをうのみにして「いざとなれば米軍が尖閣を守ってくれる」と考えるのは早計だ。「それ故に」と一言はさんだ表現に細心の注意を払う必要がある。裏返せば、尖閣諸島が日本の施政下からはずれれば、日米安保は適用されない、という解釈も可能だからだ。

米国の中枢部でも尖閣を巡る対応について意見が分かれている。

「尖閣諸島に上陸してきた中国兵は海空からの砲爆撃で殲滅(せんめつ)する」――。在沖縄米軍トップのジョン・ウィスラー海兵隊中将は4月上旬、挑発行動を繰り返す中国軍に対し、断固たる姿勢を示した。ウィスラーをはじめとする国防総省・軍が日本との同盟関係の履行に熱心なのは確かだが、米国には「日本の小さな無人島のために米中関係を壊す必要はない」と考える中国重視派もいる。「尖閣は日本の施政下にあり、それ故日米安保の適用対象」とのオバマ談話は、親日派と親中派の両論を折衷したものといえる。

■中国が画策する「漁民」による尖閣制圧

中国のミサイル戦力の増強が、「米軍介入のハードル」を高くしている側面もある。

中国軍は米軍を西太平洋海域から締め出す「接近阻止・領域拒否(A2/AD)」体制を構築するため、弾道ミサイルや巡航ミサイルを増やしている。米国防総省が6月に米議会に提出した中国軍に関する年次報告書で「(中国の)第2砲兵部隊は13年11月時点で1000発以上の短距離弾道ミサイルを保有している」と指摘している。米軍が「ローテーション」名目で在沖縄部隊の人員を目立たない形で縮小しているのは、中国軍のミサイル奇襲能力の向上が背景にあると指摘されている。

中国は東シナ海での有事対応に一枚岩ではない米国を見透かしている。安保関係者らの話を総合すると、中国が尖閣奪取でとりうる策は漁民を装った大量の海上民兵が上陸し、続いて「中国国民を守る」という名目で海警や軍を上陸させるという「グレーゾーン」シナリオだ。尖閣の管轄権を一気に奪い「日本の施政下ではない」という米軍が介入しにくい状況をつくり出す狙いだ。

日本も備えを急いでいる。第5世代のステルス戦闘機F35や無人偵察機「グローバルホーク」、新型潜水艦、水陸戦部隊の配備のほか、陸海空部隊の統合作戦能力や部隊の南西諸島への緊急展開能力を引き上げている。だが、日本が防衛力を高めれば、次に中国は航空優勢確保のために、東シナ海に戦闘機を重点的に配備するなどの手を打ってくるだろう。

■中国がみせた隙

対抗上、日本も戦闘機の数を増やすオプションはあるだろうが、1000兆円の債務残高を抱えるなかで防衛費拡大には限界がある。

ただ、中国にも隙が垣間見える。「中国共産党は大まかな方針を示すだけで、具体的な動きは軍に丸投げしているため軍の挑発行動が頻発している」(中国軍に詳しい情報筋)。軍の暴走というよりも、軍事費拡大で手にしたばかりの新型装備を使ってみたくてたまらない子供のような心境に近い。結果的に、周辺国の警戒を呼び、軍事バランスを均衡させる力学が働く。

日本は限られた防衛予算の中、必ずしも中国と同規模の軍事力を持つ必要はない。現代の航空戦では相手の3分の1の戦力を失わせることができれば、相手は作戦を維持できなくなる。中国が「日本を攻めるのは厄介だ」と思わせることが戦略目標となる。

集団的自衛権の行使容認は米軍との連携深化で、尖閣有事の際に米軍が「見てみぬふり」ができない状況をつくる方策のひとつだ。中国の南シナ海での強硬姿勢の結果、フィリピンやベトナムなど日本の味方も増えている。有事への軍事面での備えはもちろんだが、あらゆる外交努力を含めた対応が欠かせない。

=敬称略

(高坂哲郎)
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